お気に入りの調理器具があって初めておいしい料理ができると信じていた昔の人は、鍋などの大切な調理器具を、こつこつ手入れをしながら、長く使っていたものでした。そうした昔から伝わる調理器具の手入れのコツを、ご紹介します。
-目次-
【1】
鍋の手入れ
(1)
鍋の焦げつき
(2)
アルミ鍋が黒ずんだら
・
アルミ鍋に重曹と酸はNG
(3)
鉄なべの汚れは柿の皮で落とす
(4)
鉄なべが焦げついたら
(5)
土鍋にひびが入った時は
(6)
ほうろう鍋は傷つきやすい
(7)
フッ素樹脂加工の鍋が焦げついた時は
【2】
まな板の手入れ
(1)
まな板は塩とたわしで
(2)
酢にも殺菌と消臭効果が
(3)
柑橘類の皮で消臭・漂白
(4)
塩と酢の湿布でまな板の黒ずみを除去
(5)
まな板のカビ防止
【3】
ポットの手入れ
(1)
ポットの湯あかは酢で落とす
(2)
魔法びんは酢と熱湯で
【4】
やかんの手入れ
(1)
湯あかには酢水
(2)
汚れにはメラニンスポンジか重曹
【1】鍋の手入れ
(1)鍋の焦げつき
1米のとぎ汁
アルミ、ホーロー、ステンレス鍋の焦げつきに有効なのが米のとぎ汁です。鍋をとぎ汁にひと晩漬けておくだけで、鍋についた焦げが翌朝には浮き上がってきます。用いるとぎ汁は最初にといだ、白く濃い汁を用います。
2中華鍋の焦げつきは
中華なべやフライパンのまわりの焦げつきは、洗い終わった後、丁寧に火であぶると、さびや汚れがはがれていきます。
3鍋やフライパンの焦げ
鍋やフライパンの焦げ落としに役立つのがリンゴの皮です。リンゴ1個分の皮とお湯を入れて、20分ほど煮てみましょう。焦げがはがれていきます。最後はスポンジでこすって洗えば完了。リンゴの皮がない時は、酢1/4カップでも焦げ落としができます。
4部分的な焦げは重曹で対処
鍋の部分的な焦げには、重曹をスポンジにつけてこすり洗いすれば落ちていきます。重曹は研磨剤の役割をするほど粒子がこまかいのです。
5カレーの汚れ
落としにくいカレーの油汚れは、洗う前に小麦粉を汚れた部分へふりかけます。それを丸めた新聞紙などでこすると、カレーの油分が小麦粉に吸収されて落ちていきます。
(2)アルミ鍋が黒ずんだら
雪平鍋などのアルミ鍋は、黒ずみやすい特徴が。それはアルミニウムと水が反応するとできる物質に、アルカリ成分がついて黒ずんでしまうのです。この黒ずみをとるには、レモンが効果的。酸性のレモンがアルカリ成分を中和して、黒ずみを除いてくれるのです。
-やりかた-

黒ずみがついたアルミ鍋で、レモンを10分ほど煮ましょう。アルミ鍋がピカピカになりますよ。なおレモン以外にも、リンゴや酢など、酸性のものを用いてもOKです。時間はともに10分程度です。
-黒ずみをとったら予防策を-

(1)黒ずみをとったら、米のとぎ汁を鍋に入れて、約20分煮立てます。するとアルカリ成分が付着するのを防止する被膜ができます。この被膜の働きで黒ずみができにくくなるのです。
(2)とぎ汁を捨てて、アルミが水と反応を防ぐために鍋をしっかり乾拭きします。これで予防策はOKです。
野菜くずでも試してみよう
黒ずんだアルミ鍋の中に、野菜くずを入れて煮てみましょう。少しずつ黒ずみが取れていきますよ。そのあと水洗いをしてきれいにしてください。うまくいかないときは大さじ2杯から3杯の酢を入れて煮たせてみましょう。この方法でも黒ずみが取れていきます。
・アルミ鍋に重曹と酸はNG
アルミ鍋にアルカリ性の重曹を使うと、黒ずみができてしまいます。使用は厳禁です。またレモンや梅干しなどの酸にも弱いため、これらをアルミ鍋で料理に使った場合はすぐに洗い落として下さい。鍋のアルミ材質が傷ついてしまいます。
(3)鉄なべの汚れは柿の皮で落とす
放っておいた鉄なべには、不純物の汚れが表面に出て汚れになります。こういう場合は柿の皮を入れて煮立てると、柿の皮の渋み成分が作用して、汚れが落ちやすくなります。
(4)鉄なべが焦げついたら
鉄なべが料理で焦げついたら、鍋をカラ焼きしましょう。焦げついたものが完全にススになるまで焼き続けます。ススになったら火を止めて、ススをこそぎ落として水洗いします。最後に水気をしっかり拭いたら、サビ防止のために油を拭いておきましょう。
(5)土鍋にひびが入った時は
土鍋にひびが入ると水漏れして大変ですね。こういう時は米をひとつかみ入れて火にかけます。とろみのあるおかゆ状態まで炊いたら火を止めて、そのまましばらく放置します。おかゆがのりの役目をして、ひびがふさがれます。米の代わりに、牛乳を30分ほどわかしても。牛乳のタンパク質がのりの役目をしてくれます。
(6)ほうろう鍋は傷つきやすい
ほうろう鍋はじつはとてもデリケートです。スチール製のたわしなどで洗うと、ほうろう部分がてきめん傷ついてしまいます。その部分からサビてくるので注意して。洗う時は傷つけないスポンジのたわしなどで。
ほうろうについたこびりつきを落とす場合は、鍋に水を入れて、15分ほど沸騰させて汚れをゆるませたら、木べらを使ってこそぎ落とします。残った汚れは天日に干してパリパリに乾かしてはがしてとります。
(7)フッ素樹脂加工の鍋が焦げついた時は
フッ素樹脂加工の鍋が焦げついた場合は、お湯を注いで煮立てます。すると焦げが浮いてきます。あとは柔らかいスポンジで丁寧に洗って下さい。金属製のたわしやフライ返しなどで焦げをこすると、フッ素樹脂加工部分がはがれてしまうので注意して。
【2】まな板の手入れ
(1)まな板は塩とたわしで
魚や肉料理の後のまな板の洗浄には、塩を使いましょう。塩には殺菌作用が。魚や肉の雑菌を殺してくれます。また塩の粒子は大きいので、クレンザー代わりになります。塩を振りかけた後、たわしでこすれば、黒ずみや臭いが落ちていきます。なお魚や肉の調理の後のまな板をお湯で洗浄すると、かえって生臭さがしみこむことになるので注意して。殺菌と研磨作用を兼ねた塩は、まな板以外に、食器や調理器具のお手入れにも重宝ですよ。
(2)酢にも殺菌と消臭効果が
塩で落ちない生臭さやぬめりなどは、酢をかけて洗ってみましょう。
(3)柑橘類の皮で消臭・漂白
レモンやミカンの柑橘類の皮には、消臭・殺菌・抗菌力のあるリモネンという精油成分を含んでいます。皮でまな板を磨いたらさっと水洗いすると、消臭とともに殺菌効果とさわやかな香りが。また酸の力で漂白作用も。
(4)塩と酢の湿布でまな板の黒ずみを除去
黒ずみができたまな板は、殺菌作用のある塩と酢で湿布するときれいになりますよ。まずまな板をバットなどの容器に入れます。次に酢大さじ2と塩小さじ2をお湯カップ1で溶いた液を作りましょう。まな板にキッチンペーパーをかぶせて、その液をキッチンペーパーの上からまんべんなくふりかけます。そのまま15分放置したら、まな板の黒ずみや悪臭がきれいに除去できています。
(5)まな板のカビ防止
まな板にはかびがつきやすいもの。いったんついてしまうと、除去に手間がかかります。予防が大切ですが、その方法は熱湯・日光・エタノールの三拍子で行います。まず熱湯をかけて雑菌を殺します。つぎに日光に当てて乾燥させて消毒し、最後は消毒用エタノールを噴霧して殺菌します。万一カビが発生した場合は台所用漂白剤で退治しますが、まな板は食品を調理する道具です。安全面からも漂白剤の成分が残らないように、しっかりと落として下さい。
【3】ポットの手入れ
(1)ポットの湯あかは酢で落とす
電気ポットの中にこびりついた白いカスは湯あかです。アルカリ性なので、酢で中和して取り除くことが。やり方は簡単です。水1.8ℓにつきレモンのしぼり汁大さじ3、または酢カップ1をポットに入れて沸騰させるだけ。沸騰したらそのままひと晩放置します。翌朝お湯を捨てて内側をスポンジで軽く掃除しましょう。頑固な湯あかが落ちていきますよ。酢の臭いが残っていたら、水だけを入れて再度沸騰させてください。
(2)魔法びんは酢と熱湯で
魔法びんの嫌な臭いと水あかは、1リットルの熱湯に100ccの酢を溶かした液を魔法びんに入れて2時間ほどそのままにしておきます。最後はビンなどを洗うブラシなどでこすり洗いをすればOKです。
【4】やかんの手入れ
(1)湯あかには酢水
やかんの内側にこびりついた湯あかは酢水できれいに。カップ1/2の酢をやかんに入れたら水を中に満たします。そのままひと晩放置。翌朝に水洗いしてみましょう。湯あかがきれいにとれて、やかんの内側が清潔に。
(2)汚れにはメラニンスポンジか重曹
やかんの外面の掃除について。部分的な汚れやくもりなどは、メラニンスポンジで水拭きしましょう。部分的な汚れならこれでスッキリ。全体的に汚れている場合は重曹で。スポンジに重曹を少量つけて、こすり洗いをすればOKです。あとは水で洗えばピカピカに。