■昔の人の夏の暮らしに学ぶ
うだるような季節が来ると、昔の人は夕暮れ時の風や水、冷たく冷やした果物といった自然の中に、涼をとってきました。この夏、冷房をひと時忘れて、ひと昔前の方法で、夏を過ごしてみませんか?
【1】打ち水
真夏の赤く焼けた地面に水を打つと、えもいわれぬ涼しい風が漂います。まだエアコンがなかった昔、この打ち水は各家庭でごく普通に行われていました。気化熱を利用して涼しい風を呼ぶこの打ち水は予想以上の効果があり、なんと周囲の気温が1度から3度ほどさがります。水を打つのは家の前の道や壁、ベランダなど、太陽で熱を持ったところ。ポイントは、水を打ってもすぐに水が蒸発してしまうような午後の時間帯はさけて、太陽の熱が強くない朝夕に行うのがベストです。また打ち水をするとき忘れていけないのは、部屋の窓を開けはなして、打ち水で生じた涼風を中に取り込むということ。打ち水は家の外の涼だけではなく、家の中にも涼しさを呼び込むためにも行うのです。
【2】風を味方にする
エアコンがなかったその昔、蒸し暑い中で涼をとるには、風が一番身な道具でした。私たちの祖先は夏場の風を効果的にとるために、家の作りや風鈴、団扇や扇子などの身の回りの品まで工夫を凝らしました。
1扇風機
エアコンの風は、暑さに参った体にしみわたります。こと「冷やす」点では、扇風機はエアコンにはかないません。しかし扇風機には、人工的でない健康な風を味わえる特質が。扇風機を使えば、エアコンでは得られない自然風の涼しさが味わえます。やり方は簡単です。窓やドアを2か所以上開けて、部屋の中に空気の流れができるようにします。そして部屋の風向きを見て、風が外へ流れ出て行く方の窓ぎわに扇風機を置きます。そして扇風機を回しますが、向きは部屋の内側へではなく、外に向けて羽を回してください。すると部屋の熱気が扇風機によって出ていくのを促されて、開けた別の窓から外の風が吹きこんでくるのです。また直接風を体に当てて扇風機で涼む場合は、ガーゼを水に湿らせて、扇風機の前に風になびくように結ぶと、ひんやりとした風が楽しめます。
2団扇・扇子
団扇は今でも夏で使う生活の小道具ですが、昔は来客用と家人用とに、団扇をそれぞれ用意して使っていました。また扇子は今では百均でも売っているほど、夏の人気商品。自宅でもオフィスでも使われていますね。この扇子は、実は日本が誕生の地。扇子や団扇でより涼しい風を楽しむには、ミントオイルやハッカオイルを少量つけてみましょう。スーッとした冷たい香りの風が生まれますよ。
3風鈴
音の世界で涼を楽しむ風鈴は、ちょっと芸術的な夏の過ごし方ですね。りーんと微風にそよいで鈴が鳴ると、えもしれぬ冷たい心地よさを感じます。でも今ではこの音が近所迷惑になってトラブルも起こるため、楽しむにはマナーが必要です。吊るしっぱなしはやめて、涼む間だけ吊るせば、騒音トラブルは起こらない気が。家の中で聴く室内用風鈴もいいですね。