【1】膝ぶら運動
膝が痛い方は、なるべくじっとして膝を動かさないように生活していることが多いようです。膝を動かさないでいると、膝の血流が滞ってしまい、膝まわりの筋肉が固まってしまいます。痛みは筋肉が硬くなっていることから起こることが大半です。これではいつまでたっても膝の痛みは解消されません。また血流が停滞すると、血管に停滞している痛み物質が流れて行かず、痛みがいつまでも続きます。
そして最大の問題は、膝を動かさないと、関節内に関節液が入り込まないということです。関節液はヒアルロン酸やタンパク成分、リン脂質を含有する体液で、これらは痛みを抑える特性があります。また膝軟骨の栄養源でもあります。この関節液は、血流のように自動的に関節内に流れ込むことはなく、膝を動かすことで流れ込んでいきます。膝を動かすといっても、歩くというような痛みを伴う運動よりも、シンプルに膝をぶらぶらさせるという動作の方が、関節液の流れ込みには効果的です。こうすることで痛みだけではなく、膝の動きも改善されていきます。膝の痛みの原因は「軟骨のすり減り」という説明がよくされていますが、軟骨には神経が存在せず、これは医学的に首をかしげる説明のようです。実際は痛みは膝まわりの筋肉が硬くなることで起こっており、今から紹介する運動は、関節液の流入を促進するとともに、膝まわりの筋肉もゆるめていきます。
■膝ぶら運動のやり方
1片膝ぶらぶら
(1)椅子に腰掛けます。椅子は踵が浮く状態の高さが理想的です。足が床についてしまうと、足をぶらぶらさせることが難しいのです。そういう椅子がない場合は、椅子に深く腰掛けます。膝下にタオルなどを置くと、膝が浮いた状態を作れます。
(2)片足を振り上げて戻します。
(3)片方の足を50回行ってから、もう一方の足へ移ります。いきなり50回がつらいようでしたら15回から始めましょう。
2両足ぶらぶら
(1)慣れてきたら両足運動を行いましょう。足をそろえて椅子に座ります。
(2)両足をそろえてぶらぶらさせます。100回を目標にしましょう。
【2】膝の内側をつんで治す
軽度の膝の痛みの場合は、膝の内側にある靭帯をつかんでゆるめるだけでも、症状が緩和する場合があります。ここは内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)という場所で、この靭帯は膝の外側からの圧力に抗する働きがあり、関節の内側部分が過剰に開かないようにブレーキをかける役割をしています。また当靭帯は足の内側の筋肉・内転筋と繋がった靭帯で、内転筋は腰と密接な関係があるため、ここをつかまれていたい場合は、腰痛もあることが多いのです。腰痛予防をされることをお奨めします。
−つかみ方−
(1)椅子に座って足を伸ばします。
(2)膝の内側の靭帯を軽くつかみます。
少し横側からの写真
(3)1分ほどつかんでいると、痛みが軽くなっていきます。つかむとあまりに痛い場合は中止をして、前章の膝ぶら運動をしましょう。