■肩こりの原因
肩こりの主な原因は同じ姿勢をとり続けること。たとえばパソコンやスマホ、家事仕事、長時間の車の運転は、姿勢が固定しがち。こうした同じ姿勢をとり続けることで、肩や首の筋肉が硬直して、血流が停滞しがちに。すると疲労物質が流れていかず、筋肉がカチカチに硬くなってしまうのです。ですから肩や首のコリは、筋肉をやわらげて、血流を通すことが重要です。
−目 次−
■手当で肩こりを治す
1
肩こり解消!焼き塩の威力
2
肩をほぐすセロリ湯
3
昆布水
4
肩こりに効く食品
5
手のツボを刺激する
6
肩こりを手当でほぐす
7
こんにゃくパット
8
タオルの温湿布
9
患部をショウガ湿布で温める 10
肩こり解消体操
【1】肩こり解消!焼き塩の威力
かちかちに固まってしまったこの筋肉をじっくり温めてほぐすおばあちゃんの知恵が、昔から伝わる焼き塩湿布です。塩は一度温めるとなかなか冷めにくいものですが、焼き塩湿布は、この性質を利用した健康法です。用意するのはカップ1杯の自然塩。これをフライパンに入れて、弱火でから炒りします。10分ほどすると色づいてきますから、手ぬぐいなどに包み、口をしっかりひもや輪ゴムで縛ります。この時やけどに注意して。直接素肌に当てると、熱すぎて危険です。肩にタオルを当て、その上にのせてください。湿布は20分以上続けましょう。肩をはじめ、腰痛や腹痛時にも使えます。使用した塩は捨てないでください。温めなおせばまた使用できますよ。
【2】肩をほぐすセロリ湯
セロリを浴槽に入れたセロリ湯は、血行と新陳代謝を促し、血行不良の筋肉をほぐします。セロリにはカリウムやセダノライドといった、肩こりを和らげる成分に富んでいます。またセロリのあの香りは、精神をリラックスさせて、ストレス緩和の働きも。いつも緊張していて、そこから肩がこる方には特におすすめです。使い方は簡単。セロリ3本の葉を洗って3cm程度に刻み、お茶パックに入れて、湯船に浮かべるだけ。お湯の中でゆっくりもんで、セロリの成分を溶かしましょう。香気成分の肩こり解消パワーを取り入れるコツは、お湯の中で深呼吸をすること。心身にリラックスを呼んで、肩こりもラク〜。冷え性や便秘の解消にもOKです。またセリの葉にも肩こり解消効果が。使いかたはセロリと同じです。
【3】昆布水
昆布の成分ヨードは、新陳代謝を促すミネラルです。昆布を水に浸した昆布水を、毎日コップ1杯飲めば、疲労物質が溜まりにくい体に。肩こり予防が期待できます。作り方は簡単。水1リットルにつき10g程度の昆布をひと晩水につけるだけです。1週間以内で使いきりましょう。
【4】肩こりに効く食べ物
肩こりは前述のように、首から肩への血流の停滞が主な原因のひとつです。血流は細胞の新陳代謝に必要な栄養や新鮮な酸素を届けると同時に、乳酸などの老廃物を流し去ります。この働きが肩部分で鈍くなると、乳酸などが停滞して肩こりになってしまいます。
・ビタミンEたっぷりの大豆食品
・大豆、納豆、豆腐、厚揚げ、みそなど。
ビタミンEは血流改善の栄養素です。ごく細い末梢血管まで血液を届ける働きがあり、血液の体内循環をスムーズに促進します。また血管の内腔がせばまり、血液の流れが悪くなる動脈硬化の進行を防いだり、肩こりと密接な関係がある自律神経のバランスを整える働きも。大豆食品にはこのビタミンEがたっぷり含まれています。また筋肉の緊張をしずめるダイゼインという成分も豊富で、この成分は肩こり治療にも用いられる漢方の葛根湯にも含まれています。
【5】手のツボを刺激する
ツボはWHO(世界保健機関)も認証している治療ポイントです。人は生命エネルギーの「気」で生きているという思想が、中国医学にはあります。この気は経絡という人体のレールを通って体の各部署へ運ばれますが、ツボはいわばその鉄道の駅にあたるポイントです。人は病気になると、気が滞ったり、少なかったり、過剰に集中したりしていますが、その反応は症状に対応するツボに現れます。このツボを刺激することで、体の症状を改善していくことができるのです。
さて手には肩こりのツボが並んでいます。しかも症状ごとに効果があるツボがそろっています。手のツボは手軽に気軽にセルフケアができる場所です。肩こりに悩んでいるなら、あなたの肩こりの症状と照らし合わせて、反対側の手の指で、毎日ツボを刺激してみてください。押す時間は3分から5分くらいです。
・少商
親指の爪の生え際、外側の角の下に位置するツボです。風邪を引いて、肩がこっている人はこのツボを刺激してみてください。
・商陽
人差し指の爪の生え際にあり、親指側の角の下に位置するツボです。背中、首、肩の針のツボですが、内臓、特に胃が悪くて肩が痛い、首が痛い、凝っているという方はこのツボを押してみましょう。
・関衝
薬指の爪の生え際、小指側の角の下に位置するツボです。肩こりは女性ホルモンのバランスが崩れたり、更年期障害の症状として出るケースがあります。こういう方はこの関衝を刺激してみましょう。
・合谷
手の甲側に位置します。親指と人差し指の骨が交わる部分の少し手前で、やや人差し指側に位置します。肩こりをとって、体全体を整えるツボです。血圧が高くて肩がこる方はこのポイントを刺激しましょう。
【6】肩こりを手当でほぐす
凝った肩の部分へ、家族や友人などに掌を当ててもらいます。そして掌のぬくもりを浸透させるイメージでじわっとなでるようにほぐしてもらうのです。これは昔から伝わる手当の術で、掌からは微弱な電流が出ていて、それが体温のぬくもりとあいまって、血流を活性化させてこりをほぐす効果があるといわれています。
【7】こんにゃくパット
こんにゃくをアツアツに茹でたら、火傷しないように三重にしたビニール袋に入れて、口をしっかり結びます。それをタオルにくるみましょう。または最初から三枚のタオルで三重にくるんでも。痛い肩にそれを当てると、傷みが薄らいできますよ。
【8】タオルの温湿布
酢と塩を混ぜたお湯にタオルを浸した後に、軽く絞って痛い肩の部分へ当てましょう。タオルが冷えたらまたお湯につけて。これを何度か繰り返しているうちに、傷みが緩和してきますよ。
【9】患部をショウガ湿布で温める
ショウガ1個をすりおろしたら、ガーゼなどに包むか、お茶パックなどに入れて、熱湯を張った洗面器類のなかにいれます。お湯が黄色くなったら、ショウガの成分が溶けだした証拠です。タオルを中へ浸しましょう。しっかり絞ったら、痛い患部に当てて、冷めたらまたお湯につけて当てます。これを5回ほど繰り返すうちに、痛みが和らいできます。
【10】肩こり解消体操
〔1〕肩甲骨を寄せて肩こり解消ヨガ
ヨガは筋肉を伸ばしながら呼吸を行う、インド古来の健康法です。今回紹介する肩こりヨガは、肩甲骨を寄せて丸くなった背中を伸ばして、肩こりを解消するポーズです。
(1)椅子に座るか、あぐらを組みます。(高齢者や体が固い人は椅子に座りましょう)
(2)手を後ろに回して、お尻のところで手を組みます。
(3)息を吸います。
(4)吸いながら肩甲骨を寄せるようにして、組んだ手を背中上部へ引き寄せます。無理をしないこと。最初はほんのちょっとでもOKです。ポイントは両肘を近づける意識を持つことです。すると肩甲骨が寄せてきます。
(5)顔はやや上向き。無理してあげる必要はありません。熟練者はイラストのように顔が上向きます。腰をそりすぎないように気をつけて、骨盤はまっすぐに。
(6)ゆっくり息を吐きながらあげた手を下ろして、顔も元の位置に戻します。
上記を5回行います。
〔2〕スッキリ肩まわし体操
肩を回すことで肩関節の凝った筋肉がゆるめます。筋肉はうごかさないと血流が滞って、さらに凝りを発生させてしまいます。個の体操のポイントは肘を使って肩を回すことと、後ろに肘が来た時には肩甲骨を寄せる感じにすることです。ゆっくり大きく肘を回していきます。呼吸は自然呼吸でOKです。
・やりかた
(1)椅子に座って両手を肩にのせます。
(2)肘で上方に円を描いて肩をまわします。ポイントは胸を張ること。大きく肘で円を描くこと。
(3)肘が背中側に来たときは肩甲骨を寄せるイメージで回します。
(4)1から3を30秒行います。
(5)次は逆回し。肘を前方から下方へ回します。胸を張ること。大きく肘で円を描くこと。肘が背中側に来たときは肩甲骨を寄せるイメージで回すことなどのポイントは同じです。30秒間行います。
〔3〕手ぶら体操
・肩こりは脳の障害の原因に?
肩こりを「たかが肩こり」と思っている方も多いのでは? ところが肩のこりは肩の筋肉が硬いだけでなく、すぐにつながっている首の筋肉までを硬くしています。首の筋肉が硬いということは、首の動脈の血管を狭めているということで、脳への血流に支障をきたす原因を作っています。実際、脳梗塞など脳の疾病は、首の動脈が硬くなって血流が細くなっているのが特長です。肩こりはこうした脳疾患と密接な関係があり、軽視できるものではありません。
・手ぶら体操とは
肩の力を抜いてただ腕を前後にふる体操です。この運動で肩周辺に滞っていた血流の流れが改善されて、肩、首の張りや痛み、首の筋肉の緊張もゆるんでいきます。しかも肩まわりの痛みだけでなく、肩は腰の筋肉と繋がっているため、腰痛改善にも効果が表れます。また自律神経を安定させる作用もあるため、低体温や冷え症、疲労倦怠の改善も期待できます。
・やり方
1肩幅に足を開いて立ちます。
2肩と腕の力をすっかり抜いてください。
3腕を肩の高さくらいまで前に振り上げます。
4振り上げたらストンと下におろし、腕の重みで背後までもっていきます。
5背後までもっていったら、その反動で肩まで振り上げます。
6最初は5分間繰り返しましょう。慣れたら10分を目標に。
〔4〕3分の素振り
腕を肩より上にあげる運動は、肩まわりの凝った筋肉を和らげる効果が。筋肉疲労を伴わない軽い素振りをまずは3分間ほど行うと、肩まわりがスッキリしますよ。竹刀で行う必要はなく、ものさしでも新聞紙を丸めたものでも、手近にあるものを使いましょう。