「歯痛をこらえた哲学者はいない」という言葉があるように、虫歯の痛みは耐えられません。現代人の多くも虫歯に悩んでいるということですが、この悩みを昔の人々も抱えていたようです。平安時代に著されたわが国最古の医学書「医心方」にも虫歯予防の記述があるのです。昔から虫歯は人々の悩みのタネであったようです。
さてその虫歯予防ですが、我が国の食後の風習、お茶を飲む習慣が、ひと役買っていることはあまり知られていません。緑茶が含むカテキンは、実は虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑える働きがあるのです。加えて虫歯菌がつくる歯垢や、その付着も防止します。東北大学の研究では、1日に4杯以上の緑茶を飲んでいる高齢者は、同年齢の緑茶を飲まない人たちに比べて、歯が約1.6本多く残っていたそうです。
食後のお茶野の効果的な飲み方は、すぐに飲み干さず、まず口の中にゆっくり含みます。そして口の中でカテキンの成分をじわっと行き渡らせてから飲み込みましょう。また1日の飲む回数を多くすることも大切です。とはいえ緑茶で虫歯がすべて防げるということではなく、日々の歯磨きなどのデンタルケアが必要なことは言うまでもありません。でも我が国の食後の風習が虫歯予防になっていたとは、ちょっと驚きですね。