お風呂といえば舟に張ったお湯に全身でつかるもの、と思いがちですがもともとはそうではありませんでした。昔の日本のお風呂は、蒸しぶろだったのです。入浴が行われだしたのは八世紀ごろからだそうですが、当時は焼いた石の上にむしろなどをかぶせて蒸気を出し、それを浴びる方式だったようです。また別説には自然の洞穴を火で熱して、そこへ海水などを入れて蒸気を満たしたという説もあります。今のようなお風呂の入り方は江戸時代の中期に入ってからのことだといわれています。
さて体の汗や、アカを落とすためだけに、お風呂に入っている人はいませんか? お風呂はもちろん体をきれいにする効果がありますが、しかしそれだけではありません。お湯に入ると、血液の流れが促されて、体の新陳代謝が良くなります。血管や血液中の不純なものが洗い流されて、体の内側までもスッキリするのです。入浴が普及した江戸時代には、まだ内風呂は少なく、お風呂屋さんを利用していましたが、お風呂の健康効果には着目していて、健康づくりのために浴びに来る人も多く、それが五月の菖蒲湯や冬至の柚子湯の遠い由来になっています。また清潔好きな江戸っ子はサッパリしたいといって、仕事の前にひとふろという人も少なくありませんでした。
またひと昔前までは風邪のときは「お風呂はダメ!」というのが常識でしたが、今では風邪気味でも、熱がそう高くなくて元気なら、お風呂は体の新陳代謝を高めるので、湯冷めに注意してお風呂に入ることを勧めるお医者様も多いようです。こういう面でも、お風呂の入り方は変化していますね。
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