【1】野菜の味がしみこむ「落としぶた」
煮物は難しい。そういう声をよく耳にしますが、具材にしっかり味をしみこませるコツがわかれば、苦手な人でもおいしい煮物が。そこでご紹介するのが、うまみを浸透させる料理の知恵「落としぶた」。野菜などの材料を煮こむ際に、鍋の幅よりも小さめのふたを落とすことで、ふたが具材をおさえます。そしてその具材間を煮汁が対流するため、少ない煮汁でもよく味がしみこむのです。火の通りもよく、沸騰しても材料がおどらないので、煮くずれをしません。落としぶたは煮物上手になるための基本です(ただし煮魚に使うと煮崩れするので避けましょう)。落としぶたは伝統的な木製のものが有名ですが、今では百円ショップでシリコン製が手軽に買えます。またアルミホイルで手づくりすれば、愛用のお鍋にぴったりのふたが。
【2】煮魚のコツは「鍋止め」
魚の身を崩さず、味のしみたおいしい煮魚を作るには、まず皮に包丁目を入れましょう。包丁目とは、魚の身に途中まで切り込みやバツ印をいれることで、こうすると火の通りが早く、しかも味がよくしみこみます。つぎに魚を鍋に。水と調味料を加えて火にかけます。お湯ではなく、水から煮ると、魚の身がはじけたり崩れたりすることがありません。昔は「煮立った煮汁に魚を入れる」とされていましたが、今の魚は網で大量捕獲されているため弱く、急に熱を加えてしまうと、身崩れが起きやすいのです。鍋の中の煮汁が少なくなったら火の止め時ですが、止めてもすぐに器には盛らず、三分ほど鍋の中に置いておきましょう。魚が冷めるにつれて、身もしまってきます。また煮汁も濃くなって照りが出てきます。これは「鍋止め」といわれる、煮魚をおいしくするコツです。
【3】煮魚は落しぶたの代わりに煮汁を煮詰める
野菜の煮物とは異なり、煮魚は落しぶたをすると身が崩れる恐れが。落しぶたのかわりに、おたまで煮汁をかけながら煮詰めていきます。その際、鮮度のよい魚は薄い味付けにするのがポイント。煮方もサッと煮て魚のうまみを引き出すようにします。鮮度が低いものはじっくりと煮て、煮魚独特の風味を味わうように工夫できればもう達人です。煮物や煮魚は難しいといわれますが、ちょっとしたコツで、だれでもおいしくつくれる料理なのです。
【4】保温鍋で味がじわ〜っと浸透
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ご存じですか? 煮汁の味の成分である塩分や糖分、アミノ酸は、煮るときに具材に浸透するよりも、冷めるときによくしみとおることを。そこで保温鍋。鍋をバスタオルで包んで保温しながら、煮物の味を材料にしみわたらせます。煮汁が沸騰し始めたら5分から10分ほど弱火で煮続けて火を止めます。それからバスタオルで鍋を包み、そのまま約20分間置いておきます。時間が経ったら、具材にはおいしい味がたっぷりついていますよ。
【5】大根の煮物は米とゆでると甘くなる
大根を煮るときは、茶さじ1の米をお茶パックなどに入れて一緒に煮込めば、苦みがない煮物に。米のもつでんぷんが、アクと苦みをとってくれるので、マイルドな味に。調理前に米のとぎ汁で大根をゆででおいてもOK。
【6】かぼちゃを煎茶で煮ると甘みが増す
水っぽかったり、硬かったりするかぼちゃは、出がらしの煎茶で煮るとほっくりした、煮上がりになります。煎茶の香りや味は残らないので心配ご無用。また水っぽいかぼちゃは砂糖をまぶしてひと晩おくとおいしくなります。
【7】味付けの順番は「さしすせそ」
昔の人が教える調味料の順番は
さ 砂糖
し 塩
す 酢
せ 醤油
そ 味噌
酒やみりんは上記の5つよりも先に入れます。
【8】梅干しを入れて煮くずれ防止
肉じゃがは煮くずれしやすい料理です。煮くずれ防止には、梅干しを入れるといいのです。梅干しの成分クエン酸が、野菜に含まれるペクチンをゼリー化して、煮くずれしにくくしてくれます。
【9】煮豆の下茹でには魔法瓶を使う
魔法瓶に豆と熱湯を入れたまま、ひと晩おくと、豆がある程度柔らかくなっています。あとは好みの味と固さにゆでるだけ。手間と光熱費の節約になります。