風邪の引き初めに体がゾクゾクして震えるのは、体が体を震わすことで発熱し、免疫力を高めるためです。つまりゾクゾク状態は、体の中に侵入してきたウイルスをやっつける準備をしているのです。ですから体の震えはけっして悪いことではないのですよ。風邪を早く撃退するためにも、滋養のある暖かい食べ物や飲み物で冷えた体を十分温めて、免疫力を応援しましょうね。
風邪の引きはじめには、昔から体ぽかぽかのたまご酒が定番です。また実際、これが効くのです。卵はご存じのように、ビタミンC以外の栄養のすべてを含んでいる完全食品で、体に抵抗力を与える理想的なバランス食品です。それだけではありません。市販の風邪薬には、含有成分に「塩化リゾチーム」をうたっているものがおおくありますが、このリゾチームという成分は強い殺菌力を有する酵素で、体内に侵入した菌やウイルスを撃退してくれます。リゾチームは卵の卵白にも含まれていて、風邪にかかった時ののどや鼻の炎症を治し、ウイルスや菌の殺菌を行ってくれます。また卵黄のアラキドン酸は免疫力をあげて、ビタミンB群は疲労回復に効果が。こうした卵の成分と卵のもつ各種滋養、そして日本酒の体を温める効果が、体内の血流を促進して自然治癒力をアップ、風邪撃退に効果を上げてくれます。このようにたまご酒は、風邪の引き始めにはもってこいの我が国に昔から伝えられるお酒です。アルコールと卵は相性が良いのでしょう。わが国だけではなく、チリの「コラ・デ・モノ」やイタリアの「ボンバディーノ」など、栄養価が高い玉子酒が世界にはあります。
にんにくは体を温める滋養強壮食品。にんにくに含まれるビタミンB群は体の疲労回復を早め、成分のアリシンは体温をあげてウイルスや病原菌を殺菌する高い力が。また味噌も体を温める発酵食品で、腸内の善玉菌を元気づけるので、免疫力が高まります。「にんにく味噌のお湯割り」は、お腹の内側からにんにくの濃密な滋養と味噌のポカポカ効果で、風邪の初期症状の体の冷えをおさえて、免疫力を発動させます。
■3「即席ネギみそ湯」
体を温める味噌と、血行と代謝を高めて、発汗を促す
ネギの即席みそ湯です。ネギのこうした有効成分硫化アリルは、白い部分に豊富です。長ネギ1/2本を細かく刻んで、削り節ひとつかみと、好みの種類の味噌大さじ1をお椀に入れて、熱湯を上から注ぐだけ。アツアツを飲んで、ぐっすり休めば、翌日は体の中からリフレッシュされていますよ。
■4「はちみつショウガ湯」
ショウガの辛み成分のジンゲロールとショウガオールには体温を上げて、体を温める働きが。またウイルスを撃退する殺菌力や、食欲増進効果も。ショウガ一片をすりおろしておろし汁をつくり、それをお湯で割って、適量のレモンとはちみつを加えると、体ポカポカ、ビタミンCたっぷりのはちみつショウガ湯ができあがります。
■5梅干しの「焼き梅」
梅干しは風邪の症状の改善をはじめ、下痢や胃腸の不調、疲労回復など、いろいろな病に効果がある日本人のソウルフードです。主成分はクエン酸やカテキン酸。これらの成分は殺菌力が強く、梅干しを作ったときに出る酢でうがいをすれば、風邪ののどの腫れによく、胃腸風邪などでこわれたお腹も整えてくれる整腸作用があります。実際、その殺菌力は病原性大腸菌(O-157)やコレラ菌、赤痢菌などの増殖を抑えるほど強力です。「梅はその日の難逃れ」という言葉がありますが、こうした梅干しのすぐれた働きを体験的に知っていた昔の人は、梅干しを食べておくと、その日の病難を避けられるとして、朝に必ず梅干しを口にしていたのでした。風邪の引き初めは
「焼き梅」にして、冷えて疲れた体を養生しましょう。
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「梅醤番茶」
●「焼き梅」の作り方
「焼き梅」の作り方はシンプルです。フライパンにクッキングシートを敷いたら、中火にかけます。その中で梅干しを転がすようにして焼いていきます。皮が黒くなったら完成です。「焼き梅」は梅干しに熱を加えるのが主目的。梅干しは加熱すると、血行を促進するムメフラールという成分が生じます。これが風邪の引き初めの体をポカポカにして効くのです。ですから「梅干しの黒焼き」とは違うので、中まで真っ黒に焦がす必要はありません。また梅干しのクエン酸がつかれた体を回復させてくれますよ。黒く焼けたら湯呑やコップに「焼き梅」を入れて、上から熱々のお湯を注ぎます。お湯にハチミツを溶かして、梅焼きをほぐしながら飲みましょう。ハチミツのもつ抗酸化力や、体をいたわる優しい成分も、風邪を撃退してくれますよ。
■6風邪用梅干し
梅干しそれ自体には体を温めて菌を殺す働きがありますが、風邪の時にはさらに元気エネルギーをパワーアップした梅干しを食べましょう。梅干し大5個を用意して、これにしょうがのみじん切り30ℊ、乾かしたミカンの皮少量、ひとつまみの黒砂糖を加えて鍋でドロドロになるまで煮詰めます。これを毎日ティースプーン1杯をなめれば風邪の予防に。お湯で割ってもOKですよ。
■7「仙骨を温める」
からだの冷えは、単に気温が低いために、からだが寒さを覚えているだけではありません。心身が緊張して強いストレスを感じると、交感神経が優位の状態となって血管が収縮するために血行不良がおこり、それで体温が低下して、冷えを感じることも多いのです。すると免疫力も低下して、ウイルスに感染しやすくなり、風邪などの感染症を引き起こしてしまいます。そこで風邪の初期症状に、心身の緊張や疲れを解いてリラックスすると、交感神経の興奮が鎮まり、今度は副交感神経が働き始めて、血管が拡張、血流が促進されて体温が上がってきます。低体温で低下していた免疫力も復活します。ストレスを緩和して心身をリラックスに導くことも、体温をアップさせる風邪対策の重要な秘訣です。その簡単で誰でもできる方法が、仙骨を温めるというやり方。腰の仙骨は、体の中でも、特に副交感神経が集中している重要なポイントです。ここを携帯カイロなどで温めると、副交感神経が働き始めて心身がリラックス。全身に血流が流れ始めて、体の冷えがとれていきます。仙骨の温め方は、「貼るカイロ」を下着に貼ったり、椅子の上に置いてお尻に敷いたりと、いろいろ工夫してみてください。また仙骨を温める温熱療法のグッズもいろいろ市販されていますよ。
■8「免疫力アップジュース」
①免疫アップフレッシュジュース
風邪を引きそうだなと思ったら、まずは体を温めることが第一です。そして同時に免疫力をアップすること。免疫力アップの方法としてご紹介するのが、体内の免疫システムにパワーを与え、抗ウイルス力を強化するフレッシュジュースです。
材料は、抗ウイルス作用のあるビタミンCとフラボノイドがたっぷりのオレンジとイチゴ、ペルオキシダーゼなどの抗ガン作用(免疫強化作用)の酵素が豊富なパイン、万一ウイルスに感染していた場合に糖の吸収を緩やかにして体を守るバナナなど、風邪ウイルスに対抗する栄養がたっぷりの果物ばかり。バナナを加えることでジュースの濃度が増して、風味もよくなります。
・材料
オレンジ1個 皮をむきます。
パイン1/2個 皮をむいて適当な大きさに。
イチゴ 1/2カップ
バナナ1本
・作り方
ジューサーにオレンジ、パイン、イチゴ、バナナの順番に入れるとできあがりです。
②免疫アップ野菜ジュース
感染症にかかったときにぜひ飲んでほしい野菜ジュースです。材料は疲労回復や殺菌力、免疫を強化するニンニクをはじめ、炎症をしずめて抗菌効果が高いショウガ、ビタミンCがダントツのパセリ、体を温めて血行を促進するニンジン、ポリフェノール成分が高くお腹にもよいリンゴ、そして免疫を活性化させるイヌリンを含むキクイモと、風邪対策には効果的な野菜ばかりです。
・材料
ニンニク 2片
ショウガ ごくわずかにスライスしたもの。
パセリ 少々
ニンジン 4本
リンゴ 1個。適当な大きさに。
キクイモ あればで加えてください。1カップ。
・作り方
ニンニクとショウガとパセリをジューサーに入れて、次にニンジン、リンゴ、キクイモを入れるとできあがり。
■9れんこん汁で引き始めの風邪を撃退!
れんこんの汁には殺菌効果があり、免疫力を高める熱に強いビタミンCがたっぷり。風邪菌にかかりやすいのどや食道、鼻の粘膜を強化します。このれんこん汁に甘くて殺菌効果が高い蜂蜜を加えて、飲みやすい風邪撃退ドリンクを作りましょう。れんこんをよく洗ったら、皮ごとすりおろして、ガーゼなどの布でこして搾り汁をつくります。これにはちみつ大さじ1を加えて、就寝前に50㏄を飲みましょう。
■10うがいは塩コショウか番茶で
風邪の一番の予防は手洗いとうがいです。うがい薬は効果がありますが、それ以外のものでも充分な予防力が。
・塩と黒コショウ
コップ一杯のわかしてぬるく冷ましたお湯の中に、塩茶さじ1/3と黒コショウ2つまみを入れてうがいをします。
・番茶
タンニンを含む番茶には抗菌作用が、また塩には消炎作用があります。番茶にひとつまみの塩を入れてうがいをします。
■11抵抗力アップのにんにくはちみつ漬け
にんにくが体の抵抗力を作ることは、洋の東西を問わずよく知られています。毎日食べると風邪に強くなるほか、低血圧改善効果も。
・作り方
1にんにく200gの皮をむいて、水洗いしたのちざるにあげます。
2蒸し器で5分間蒸します。最初の3分はふたをして、後の2分間はふたをとって蒸します。
3蒸したにんにくを別のなべにとって、ハチミツ45gをいれて少し煮ると出来上がりです。これを毎日1個食べましょう。
■12ミカンの皮で風邪に負けない体に
よく洗って内側の白い部分を除いたミカンの皮を天日干したものを、漢方では体の抵抗力をつける薬「陳皮」として使用しています。陳皮は漢方薬局で買わなくても自分で作れます。天日干しした皮はすり鉢ですりつぶして、みそ汁に入れたり、ご飯に振りかけたりして食べます。
■13アツアツのミカンの黒焼きを食べる
ミカンに塩をつけてたわしでこすったあと、熱湯をさらにかけて5回ほどこすると、農薬がとれます。これを皮がついたままアルミホイルで包んで、オーブントースターで12分ほど焼きましょう。アツアツのミカンを皮をむいて食べてください。